西日本豪雨災害の支援活動報告③ ー調整本部についてー

災害が発生した際には、前回ご紹介したリハビリの専門家のチームであるJRAT(ジェイラット)のように様々な専門家の組織(チーム)が活動をしています。医師が中心となる医療チームである「JMAT」や保健師が中心となり感染症を予防し健康を支えるチーム「DHEAT」、管理栄養士が中心となり病気などで栄養の管理が必要な人の食の支援を行う「JDA―DAT」、社会福祉士が中心となり福祉的な配慮が必要な人の支援を行う「DWAT」など、さまざまなチームが活動を行っています。これらはほんの一部で、災害が起きた時に住民やその地域を支える仕組みはたくさんのものがあります。これらのチームが役割分担をして効果的に活動をするには、情報交換をするための調整本部が必要となります。

倉敷市の活動では倉敷保健所に倉敷地域災害保険復興連絡会議(KuraDRO・クラドロ)という名称で調整本部が設置され、この調整本部でやりとりされた情報を基に各チームの活動部隊に情報伝達され、活動が行われました(以下の写真が組織図です)。

筆者(派遣者)も今回の活動を通じてこのような災害支援の仕組みを実際に体験しました。以下、岡山県理学療法士会の会報ならびにJRATの活動報告書に掲載するために、発災初期の調整本部の活動についてまとめました。以下、転載いたします。

(1)調整本部活動初期(7月16日、18日)

 私の調整本部初日の場所は倉敷保健所内の倉敷地域災害保健復興連絡会議(KuraDRO・クラドロ)という所で、発災後間もない時期という事もあり、医療、保健など他の支援団体が常時30名以上で騒然としていました。この時点ではJRATは県内のスタッフのみの2名体制で、日替わりで担当が変わり、引き継ぎの時間もない状況で、初日は1日の流れについていくのがやっとでした。

主な業務は、他の支援団体との連絡調整、倉敷リハビリテーション病院内にある活動本部との連絡調整でした。他の支援団体から相談があればクロノロジー(当日の何時に誰から誰にどのような内容の連絡、報告、相談等があったか時系列の詳細な記録様式)に残し、指示を仰ぐべきことは他の岡山JRAT役員に相談し、返事を伝達するということを繰り返しました。この時期クラドロの方針として、「全ての避難所情報を把握し、課題の優先順位をつけて活動する」という段階で、活動本部に「早急に全避難所のアセスメントできるよう活動部隊(避難所支援チーム)の調整が必要であること」を伝えました。クラドロ内の他の支援団体も含めた1日5回の連絡会議で、活動部隊の避難所派遣状況等のJRATの活動状況を伝えました。この時期では多くの情報が行き交うため、それらの情報を正確に記録、整理して、今後何が必要かどうか優先順位を意識した活動が求められました。

(後日、続きを掲載する予定です。)

西日本豪雨災害の支援活動報告② ーJRATの概要ー

勝央福祉会から派遣された職員の派遣先は、「JRAT(ジェイラット)」という組織でした。これは「Japan disaster Rehabilitation Assistance Team」の略称で、日本語では「大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会」と言います。日本全体を統括する組織と、都道府県支部があり、今回、職員が参加したのは岡山県支部である「岡山JRAT」でした。主に、岡山県理学療法士会、岡山県作業療法士会、岡山県言語聴覚士会にて構成されています。

このJRATは発災後に起こり得る生活不活発病などを予防し、被災者及び被災地のリハビリテーション関連施設やネットワークなどの早期自立・再建、さらは早期復興を見座して、組織的なリハビリテーション支援を展開すうるために結成された団体です。

生活不活発病とは活動が制限されることによって、活動量が低下し、心身の機能低下が起こるものです。生活不活発病が起こることで、他の病気が発生するきっかけになることがあります。東日本大震災や熊本地震を通じて、生活不活発病の予防が重要であることが強く認識されました。例えば、避難所であまり動かずに生活している時間が長くなると、脚に血栓という小さな血の塊ができます(深部静脈血栓症といいます)。これらが血管を通じて体の他の部分に運ばれ、細い血管のフタをしてしまうことがあります。これにより脳や心臓、肺などの臓器に悪影響が起きてしまいます。

JRATは「からだを動かすことの専門家」として活動が低下を予防するように、避難所の環境を整備して活動しやすくなるようにしたり、体操の指導を行います。避難所には高齢者や障害をお持ちの方もおられるため、専門の知識が必要になることがあり、そのような際にはJRATのスタッフの専門性が活かされます。

西日本豪雨災害の支援活動報告① ー活動の概要ー

平成30年7月の西日本豪雨災害においては甚大な被害が発生しました。「晴れの国」と呼ばれ、これまで災害が少ないと考えられていた岡山県でも大きな被害がありました。特に、倉敷市の真備地区では広い範囲で浸水被害が発生しました。

勝央福祉会は岡山県理学療法士会からの依頼を受け、理学療法士1名が支援に参加し、7月から10月にかけて計12日活動をいたしました。被災地ではまだまだ以前の生活に戻れず不便な思いをされている方もいらっしゃると思いますが、岡山県理学療法士会を通じての支援活動は10月いっぱいで終了となり、その後は各自治体の中で被災者への支援は継続されると聞いています。今回の活動を得て経験したものをこのホームページの中で数回に分けて、活動報告をしていきたいと思います。これらの経験が今後の防災や災害支援に活用されれば幸いです。また、このホームページを通じて何かお気づきになったり、お感じになることがありましたら、ご意見をいただいたり、ご感想をいただければありがたいです。

改めて、今回の西日本豪雨災害により被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、被災地の復興を心よりお祈り申し上げます。

当法人からの職員派遣日:

7月 15日、16日、18日、24日、25日、30日(計6日)
8月 2日、14日、15日(計3日)
9月 1日、2日(計2日)
10月 7日(計1日)
合計12日

派遣先:岡山県倉敷市、総社市


(被害状況の説明は山陽新聞デジタルより引用 http://c.sanyonews.jp/gou_graph/)

全国老人保健施設大会埼玉に参加しました

10月17、18、19日、埼玉県大宮市で全国老人保健施設大会が開催されました。勝央福祉会からは職員6名が参加しました。

勝央福祉会からは老人保健施設の在宅復帰の取り組みと地域貢献の取り組みの2つの演題発表をしました。今回の大会では、これからの時代の流れとして「AI」や「ロボット」の活用について活発に意見交換が行われていました。少子化に伴う労働人口減少も合わせて、介護業界において、これから大きな変化が起こることが想定されます。この大会で得た新しい情報を得を、今後のサービスの充実に向けて活用したいと感じました。

津山市で健康交流会の講師をさせていただきました。

10月6日、津山市倭文(しとり)地区の「倭文地区若返り健康教室交流会」に勝央福祉会の理学療法士が参加し、講師を務めさせていただきました。参加されている方は日ごろ地域で健康教室の中で体操をされている高齢者の方々。約100名の方の参加があり、とても活気がありました。

津山市で行っている体操を一緒にして、介護予防のための「フレイル予防」の話を紹介させていただきました。台風が日本海近くに来ており開催も心配しましたが、天気も良くなり、台風が連れてきた高気圧の影響で10月にも関わらず体操をすると汗をかくくらいでした。熱心にお聞きいただけて嬉しく感じました。

その後、津山市地域包括支援センターの職員さんより「認知症予防」の話がありました。分かりやすい話と楽しい体操で頭も活性化したように感じました。

リハビリテーション・ケア 合同研究大会に参加しました

10月3日、4日、米子市でリハビリテーション・ケア 合同研究大会米子2018 が開催されました。勝央福祉会からは職員1名が参加しました。

勝央福祉会からは地域貢献の取り組みを発表しました。他の病院や施設も、それぞれ地域に合わせた地域貢献の取り組みをしており、とても参考になりました。さらに、前厚生労働事務次官の蒲原先生の講演においては「今後の地域共生社会の方向性としては、高齢者も障害者も子どもも、支援が必要な人全てを支える社会づくりが進んでいく」という話を聞くことができました。特に印象的であったことは、これからは「支える」「支えられる」という二分ではなく、誰もが「時に支え」「時に支えられる」社会が求められるということでした。誰もが幸せに暮らせる社会づくりのため、国でも制度が変わっていきますし、私も地域でがんばっていきたいと感じました。

地域との交流のサムネイル

勝央苑通所リハビリテーションの地域との交流について

勝央苑通所リハビリテーションでは、地域との交流活動を行っています。下の紹介記事をご覧ください。

★地域(コミュニティ)体操教室への講師派遣と、施設へのリハビリ体験のお問い合わせ先:
勝央苑(0868)38-1880 担当者:坂上(さかうえ)

腰痛予防(商工会)のサムネイル

ご案内:あなたの職場で腰痛予防の取り組みをしませんか?

勝央福祉会では、地域貢献活動として、理学療法士による産業理学療法の取り組みを開始します。お勤めの企業や団体の中で腰痛が気になる方はおられませんか。専門の知識を持った理学療法士が研修を行います。費用は無料です。岡山県北の職場であれば、詳しくは下の案内資料をご覧ください。

連絡先:社会福祉法人 勝央福祉会(老人保健施設 勝央苑内)(0868)38-1880
理学療法士 大片(おおかた)まで

中国地区介護老人保健施設大会に参加しました

8月30日、31日、米子市で中国地区介護老人保健施設大会が開催されました。勝央福祉会からは職員5名が参加しました。

勝央福祉会からは地域貢献の取り組みや、老人保健施設での在宅復帰やリハビリテーションの取り組みの3つの演題を発表して、他の施設との情報交換に努めました。さらに、教育講演を聞いたり、他の施設の取り組みを聞いたりすることで今後の業務に向けての多くの学びを得ることができました。